Transition Patrol。2シーズン目に入り、色々とパーツをアップグレードしてさらに良い感じに仕上がってきました。

LOVE BIKESさんからサポートいただいているTransition BikesPatrol。27.5インチホイール&160mmストロークと現在主流のエンデューロバイクです。昨年組み上げた時のレビューを参考にしてもらえると、基本的なセットアップが分かるかと思います。2シーズン目に入り身体がバイクにも慣れて馴染んてきたのもあって、基本的な操作感覚が向上していましたが、ここに来て更に色々とパーツアップグレードをしてみました。

アップグレード前

ステム長変更

まずステムを50mmから35mmの長さのものに変更してみました。バイク自体はMサイズでは小さく感じたのでLサイズを使用しています。そのため全体的なリーチ(シートからフォークコラムまでの長さ)が長めで50mmのステムでも問題は無かったのですが、実際変えてみると差は歴然。新しいステムもANVL ComponentsSWAGE STEM。ウィリーやマニュアルといったフロントリフトがよりやりやすく、安定しました。さらにバンクのコーナー等でバイクをより倒せるようになりました。これはおそらく、たった15mmの差ですがハンドルバーを握る位置が後方に移ったことで、重心位置も後方に移動してバイクに対してよりバランスが取れたポジションを取れているからだと思います。

ANVL SWAGE Stem 35mm

クランクセット&チェーンデバイス

そしてクランクセットをフロントシングルのXTグレード(もとはXTRだったのでダウングレード?)の歯数30Tに変更しました。フロントシングルはフロントディレーラーと2 or 3枚ギアの組み合わせに対して軽量化になり、トラブルを減らすという意味でも山をメインに走るにはかなりオススメです。リアのギアの歯数が11Tから42Tの11速であれば、乗鞍等ののトレイルに関しては全く問題なく上り下りをこなせます。トレイルでの上りでは42Tを使うことはまずないですね。舗装路で上りあげる時に使うのみです。実際トレイルで42Tだとトルクがかかり過ぎてホイルスピンしてしまうこともある程です。

このフロントシングルの1×10 or 1×11のセットアップは最近増えてきましたが、初心者の方にも非常に有効です。フロントディレーラーを使いこなすには多少の経験が必要なので、ノーススターの初心者レッスンでは最初はフロントディレーラーを使用しないように教えています。ただ、1台で普段の市街地での移動にも使うと考えるとハイスピードに対応できないので、フロントギア3枚の方が良いでしょう。

SHIMANO XT クランクセット&MRP AMG V2 チェーンデバイス

MRPのAMG V2チェーンデバイスも追加しました。フロントシングルのギアはギア歯形状がナローワイド(厚い歯と薄い歯が交互に配列してある)で走行中にチェーンが落ちるということはまず無いのですが、もしもの時のためと、岩場のある乗鞍のトレイルでチェーンやギア歯を守るためにアンダーガードがあるこのタイプを選択しました。フロントディレーラーで軽量化した分を相殺してしまうことになりますが、安心感とカッコ良さでアリということにしています。実際先日丸太を乗り越えた時にガツッと当たったので、保険みたいなものですね。

チューブレス化

そして今回のアップグレードの肝はチューブレス化です。最近ゲストの方もチューブレスの方が多いし、何より空気圧が下げられてタイヤのグリップ力が上がるということで、流行りに乗ることに決めました。

MAXXIS タイヤ

まずはチューブレス化にあたって必要なのはチューブレスレディ(チューブレス用)のリム、タイヤ、シーラント、インジェクション(シーラント注入用注射器)、チューブレス用バルブ(バルブコアが取れるものが◎。通常チューブレスレディリムに付属している。)といったところでしょうか。今回のタイヤチはフロントにMAXXISMINION DHF 27.5×2.5、リアには同じくMAXXISのIKON 27.5×2.2をチョイス。シーラントはSTAN’S NOTUBEになりました。

STAN’S NOTUBEのシーラント剤とインジェクター

まずはタイヤはほとんど折り曲げた状態で売られているのでひっくり返して伸ばします。こうすることで折り目が伸びて組み付けた時に空気の漏れなどを防ぐことができます。

タイヤを裏返して数時間放置

そして最初はシーラントを使わずにタイヤをはめ込んから空気のみを入れるドライランを行います。まずバルブをリムにはめてからタイヤをリムにはめ込みます。この時バルブのナットをしっかり締め上げてバルブ付近からの空気漏れが無いようにします。タイヤをはめ込む時はリムを傷つけないようになるべくタイヤレバーを使わない方が良い(実際には1回使っていまいましたが、問題なし)ようです。今回仕様のMAXXISは非常にはめやすくて楽でした。

XTRのチューブレスレディリム

タイヤがリムにはまったら、バルブから空気を入れます。この時に一気に空気を入れる必要があるので、空気を圧縮して溜め込んで一気に解放できる専用のフロアポンプを使うと便利ですが、コンプレッサーがあるのでそれで一気に空気を入れました。タイヤのビートが上がるのを確認して一度バルブからバルブコアを抜きます(同時に空気も抜けます)。コンプレッサーや専用のポンプ等が無い場合は、最悪ひたすらポンプしてなるべく一気に空気をタイヤに送り込みます。そういった場合はビートに石鹸水をつけるとビートが上がりやすいようです。

チューブレスレディのバルブ。下はバルブコアを抜いた状態。

ドライランが終了したら、シーラント液の容器を振って中身をしっかり混ぜてからシーラント液をインジェクター(注射器)に注ぎます。今回使用したインジェクターは先端にバルブにねじ込めるチューブが付いていたので、そのチューブを先にバルブに取り付けました。シーラントをこぼさないようにインジェクターをそのチューブと接続し、シーラントをタイヤ内に注入します。シーラントの注入量は89ml。タイヤサイズによって違います

バルブコアを抜いた状態

注入したらバルブコアを戻し、再びコンプレッサーで空気を一気にいれてビートが上がるのを確認します。この時の空気圧は多めに50PSI程入れて、バルブを閉めます。その上でタイヤを横向きにしてタイヤ内にシーラント液が行き渡るようにタイヤ自体をよく振ります。もしシーラントが漏れる箇所がある場合はその箇所を下にして暫く置くとその漏れが収まるのですが、今回はバルブをリムに取り付けた時点でその締め付けが甘かったみたいで何時間経ってもシーラントが漏れ続けて、原因が判明するまで試行錯誤しました。しっかりとバルブのボルトを締め直して、シーラントを少々追加してもう一度空気を入れると今度は漏れがなくなりました。

バルブにインジェクションを接続

シーラントの漏れが無ければ完成! 色々ありましたが、所要時間はトータルで1時間もかかって無いかと思います。

さて、肝心の乗り心地ですが、ガイドなので「パンクでゲストを待たせたく無い!」という思いで、これまでは比較的高めの空気圧(35PSI以上)で乗り心地やグリップを犠牲にしてきました。まぁ同じトレイルを何万回と乗り倒しているのでその辺は経験とスキルでカバーできるわけですが、せっかくチューブレスになったので何回か乗りながら徐々に空気圧を落としていきました。

フロントタイヤチューブレス化、完成の図

チューブの場合はリム打ちパンク(スネークバイト)が怖いのでそこまで空気圧を落とせませんが、今のところフロント:20PSI、リア:25PSIというセッティング。今までフロント2.3インチのタイヤ幅が2.5インチになり、またタイヤメーカー間の微妙なサイズ差でリアも同じタイヤ幅なのに実際には以前のタイヤよりも太いようです。タイヤ幅と空気圧の変化もあって曲がる時のグリップ感の向上は半端ないです。短かくしたステムとタイヤのグリップでコーナー(特にバンク)でのタイヤの喰いつきが非常によく、今までよりバイクを倒せるようになりました。これはバイクとしての全体的なバランスの問題もあるかと思いますが、単純には良いバランスで乗れるスイートスポットの範囲が広がったように感じます。つまりバランスを崩してもよりリカバリーしやすくなったのが大きな違いだと感じています。チューブレスの注意点としては比較的空気圧の低下があります。ライドの度に空気圧をチェックした方が良いかと思います。

リアタイヤチューブレス化、完成の図

まとめ

色々とパーツ変更したこともあって、日々のバイクライド楽しいです。マウンテンバイクは機材スポーツなので、好きなバイクに乗るということのメリットは大きいですし、パーツを入れ替えてより自分好みに仕上げていくのも大きな楽しみの一つだと思います。2シーズン目ということで身体がバイクの動きを分かってきたというか馴染んできた面は大きいですね。

アップグレード後。こう見ても大きな差はないですが、、、

色々なバイクを乗り継いてきましたが、お世辞抜きでPatrolはいいですね。Carbonのバージョンは2016年のPinkbikeのベストバイクアワードを受賞していますし、小規模ながら業界内で奮闘しているTransition Bikesは「こいつら本当にマウンテンバイク好きなんだなぁ」というのが伝わってくるブランドです。2018モデルはSBG(Speed Balanced Geometry)という設計コンセプトで全く新しいライドを提供してくれるようで、さらに良くなると思うと今からワクワクです。単純にマウンテンバイカーとしてTransition BIkesに乗らせてもらっているのは幸せです。サポートいただいているLOVE BIKESさん、本当に感謝です。また今回のチューブレス化でに関してトレイルストアさんに色々と相談にのっていただきました。ありがとうございました。

マウンテンバイクたのしー‼︎