標高2000mから1000mの乗鞍高原には昔からのトレイル(山道)が無数に存在します。それらはかつて山菜採りやキノコ採り、牧畜や木材生産といった地域の暮らしの為に利用されていましたが、時代の流れと生活スタイルの変化により利用されなくなると、草木に覆われて忘れ去られる存在でした。乗鞍高原の緩やかな斜度の地形に広がるそういったトレイルはマウンテンバイクにとっては好条件です。

昨今はスキー場で本格的なコースが整備され、都市近郊にもマウンテンバイクパークが整備されることで、ひと昔前よりもマウンテンバイクを取り巻く環境は向上しています。各地で様々なトレイル利用の取り組みがなされるようになってきましたが、ノーススターのマウンテンバイクツアーが盛んになってきた2008年頃はトレイルに関する地権者との取り決め等は非常に曖昧な状況でした。

乗鞍高原では2014年にのりくら観光協会内にトレイル研究会を立ち上げ、長年マウンテンバイクガイドツアーを当地で運営してきたノーススターを中心に乗鞍高原内でのマウンテンバイクの利用について研究と検討が続けられてきました。マウンテンバイカーにとって利用しやすく、他の利用者の安全に守れる利用ルールの制定とルートの設定を行いました。加えて地権者、関係機関との調整を行い、日本の国立公園初となるマウンテンバイクで利用可能なパブリックトレイル、のりくらコミュニティマウンテンバイクトレイル(NCMT: Norikura Community Mountain bike Trais)を2021年にオープンすることとなりました。

シンプルに乗鞍高原にはライドするのに楽しいトレイルがあり、それを多くの人に楽しんでもらいたいと思ったのが出発点ですが、ルールを決めて自由に楽しめる公のトレイルをオープンすることで地元の観光振興に繋がる道を模索してきました。また、マウンテンバイクが気軽に楽しめる場所を提供することで少しでもマウンテンバイクの普及に繋がればと考えています。

トレイルの維持管理に関しては欧米の様に様々な費用的な課題が解決できれば、トレイルを無料で開放という形を取りたいところです。しかしながら、現状は利用者負担として1日2,000円、年間10,000円のトレイル整備協力金の負担をお願いすることでトレイルの維持管理体制を整えていきたいと思います。もちろん協力してくれる個人や企業のスポンサーも募集します。

乗鞍はすでにヒルクライムの聖地として多くのロードバイカーの方々が来てくれています。そのような方々にマウンテンバイクが利用できることをアピールし、より長く乗鞍高原に滞在してもらったり、観光協会で取り組んでいるワーケーションでの長期滞在スタイルとして、朝にマウンテンでもトレイルでも1本走って、それからワークといった滞在スタイルを提案していきたいとも思っています。

ノーススターでは引き続きマウンテンバイクレッスンやガイドツアーを運営し、よりマウンテンバイクが楽しくなるようなサービスを提供していきます。

今日も走りましたが、マウンテンバイクライドはやっぱり楽しいです。大好きなマウンテンバイクがちょっと地域の役に立ったり、誰かのためになったら嬉しいじゃないですか?